二浪之愚記

二浪ニート→三浪警備員→四浪期間工(いまここ)

宅浪ニートをやめて警備員のアルバイトをしていた頃の話

大学受験に失敗して浪人生活を始め、ダラダラと過ごしているうちに三浪ニートと化してしまった私は、この廃人の如き状況から脱却すべく、何か仕事をしようと思い立ち、警備員のアルバイトを始めたのであった。数ある職種の中で何故警備業を選んだかと言うと、時給が高く、私でも出来そうな仕事がこれしかなかったからである。

今回は私が警備会社で経験した仕事を語ってゆこうと思う。

まずは一番長くやっていた、駐車場での交通誘導の話から。

 

一言に交通誘導と言っても、それには様々な役割がある。私は主に駐車場の入り口に立ち、無線で指示された台数の車両を場内に受け入れる役割を担っていた。他の警備員は大量の車がスムーズに駐車できるように場内で連携して誘導を行い、それぞれの持ち場の空き台数を無線で私に伝えるのである。客数の割に駐車場が狭い現場では、満車の看板を無視して場内に侵入してくるクレイジーな運転手に車で引かれそうになった事もあり、なかなか気の抜けない仕事だと感じた。イライラした運転手というものはこれほど奇想天外な行動をするのかと面食らってしまうのである。

働き始めの頃は想像以上に厳しい業務内容に戸惑っていたのだが、給料だけは高く、それがモチベーションとなって実力がつくと、ある程度精神的余裕を持って稼げるようになっていった。当時は3時間5000円の業務を毎日二件ほど任されていたので、高卒アルバイターにしては稼げていた方であろう。月に数回は残業をするので、月収は平均的な大卒の初任給より一回り多いくらいだ。

ただし、夏場の交通誘導に限定して言えば、この給料でも割には合わない。炎天下の夏日に影のない駐車場でずっと立ちっぱなしだった時は、干乾びて天に召されるのではないかと思った。これから短期で交通誘導のアルバイトをしようと思う人は、楽な季節を狙ってやる方がよい。

 

そしてもう一つ、交通誘導とは違う類の仕事も経験した。病院の夜間警備である。

こちらの仕事は時給千円と非常に安い。業務の半分は椅子に座って監視モニターに映る入口の映像をボケっと眺めているだけなので、まあ妥当な報酬と言えるだろう。実質的には夜勤手当や残業手当が付いてそこそこ稼げるので、むしろ穴場かもしれない。

とはいえ夜間警備にはモニター監視以外の仕事も多種多様にある。

まず第一に診察室等の施錠である。私が勤めていた病院ではマスターキーで50箇所以上の鍵を施錠しなければならなかった。施錠箇所と順序を覚えるのには大変苦労したものだ。

それとは別で、数時間おきに院内の巡回を行う。真夜中の真っ暗な病院を、ライトで足元を照らしながら巡回してゆくのである。患者の病棟にはそれなりに光があるものの、地下の倉庫や霊安室付近は完全なる暗闇で中々不気味であった。

そしてもう一つは救急患者の入退管理である。救急患者らしき者が来たら入り口まで行って、名前と用件を訪ねて記録し、受付まで案内する。救急車のサイレンが聞こえた時は道路まで出て、救急車が院内にすぐ入れるように他の車両を電光誘導棒で停車させ、無線で救急の当直医に連絡をする。

病院内の夜間警備の主な業務は以上となるが、実は他にも様々な雑用があり、むしろこの雑用の方が面倒なのであった。夜中に駐車場で悪そうな中学生がスケートボードで遊び始めたり、高齢者や認知症患者が院内から脱出を試みたりすると、受付やナース室から内線で連絡が来て、どうにかしろと言うのである。前者はともかく、後者に関しては病棟を出る前に医療関係者が止めろと思うのだが、何故か警備員が最後の番人として頼りにされているのであった。

他にも電球が切れたとかゴキブリが出たとかで雑務が増えるのだが、これらを挙げだすと話が終わらないのでこのあたりでやめよう。

 

私が経験した主な仕事は大きく分ければ以上の二つくらいである。

警備業は色々と面倒な人や出来事に遭遇する仕事であるが、どうしても金が必要な学生や、ニート、フリーターには割と良い仕事ではないかと思う。あくまで能力のない人間がアルバイトとして短期的に稼ぐ手法としての話だが。

私にとって警備業は初めての仕事だったので、戸惑うことも多々あったが、これもまた人生経験としてそれなりに有意義であった。浪人とは名ばかりのニートによる社会復帰プロセスとして、この仕事はかなり適切だったと思われる。警備業界は入れ替わりが激しく、今はどこも人手不足の傾向が強いようなので、社会復帰を目指すならまずは週に二回くらい警備のアルバイトに入ってみるのはオススメである。やたらと厳しい現場でこき使われるようであれば、辞めて他の警備会社に行けばよいのだ。