二浪之愚記

二浪ニート→三浪警備員→四浪期間工(いまここ)

工場の派遣労働を契約期間の途中で辞めた男

タイトルの通り、派遣社員として従事していた仕事があまりにも辛過ぎて、契約期間を満了するより先に逃げ出した話である。

高卒でまともな職歴もなく、そもそもやりたい仕事など一つもなかった私は、自分でも採用されそうな仕事の中から適当に給料の高いものを選んで働こうと考えた。

そこで派遣会社に「とりあえず手取りの多い仕事を紹介してほしい」と伝えたところ、基本時給は低いが残業と夜勤が出来るという理由で、工場の作業員を勧められたのである。

私は自分の器量を正確に把握することの出来ない愚か者だから、飛んで火に入る夏の虫の如く残業手当と深夜手当の多さに飛び付いた。結果、予想以上の厳しさにあえなく撃沈という訳である。

実質13時間の長時間拘束に加え、通勤には合計約2時間が掛かっていた。したがって一日の自由時間は約9時間しかない。さらに言えばその9時間というのは次の労働に備えて如何に早く食事と風呂を済まして寝るかという戦いであって、事実上自由とは程遠い。なんというか、これでは人間として生きている感覚が無くなってくるものである。

そして何より業務内容が無茶苦茶過ぎる。一方の生産ラインではプラスチックの棒をひたすらニッパーでぶった切り、それと並行して別の生産ラインでは部品の切り口をカッターナイフで整える。二か所にあるベルトコンベアを約3分ごとに往復しないと部品がゴミ箱に落ちて不良品になる。不良品を出せば叱られるという負のモチベーションが、かろうじて私の手足を突き動かしていた。万歩計のアプリを見ると一日の歩数が2万を超えている。私の体力と精神力では到底この業務を続けていけそうになかったのである。

三月の末が契約の更新日だったが、二月の末には既に限界が来ていた。この時期に私は派遣の担当者に今すぐ仕事を辞めたいという事を伝えた。

ここで意外だったのは、拍子抜けするほど簡単に退職の手続きが完了したことである。期間満了まで続けるように諭されるかと思ったが、そのようなことは無く、二つ返事で了解を得た。工場の社員達に自分から辞めることを伝える必要もなく、派遣会社の方で書面にサインをするだけで丸く収まったのである。代わりの人材を用意する必要があったらしく、辞めたい旨を伝えてから二日だけは耐えるように頼まれたが、三月の末まで続けることに比べれば容易いことである。当然私は快諾した。

次の仕事もすぐに就くことが出来た。こちらは8時間労働で、業務内容も前職と比べれば随分と楽である。残業をするかどうかも自分で決定できる。この差は非常に大きい。

以上の経験から、実際に就職してからでないと業務の厳しさは分からないのだということを強く認識した。当たり前の話だが、入社前の説明で体感的な適性など理解出来るはずもない。私のような職歴に傷をつけることに何の躊躇いもない人間は、開き直って転々と仕事を変えつつ、自分に適した職場を見つけてそこに居座るというやり方が案外よいのかもしれない。