自宅浪人の行動範囲たるや驚きの狭さである。
浪人生活はただでさえ代わり映えしないものだが、その上自宅に籠りっきりというのはなかなかツライものだ。引きこもりの才能がある場合は別だが、私のような凡人は時々遠くに出かけて気分転換を図らないと気が持たないのである。
しかし多くの自宅浪人には遠出する為の金と時間が無い。
そこで大回り乗車である。
大回り乗車をすれば数百円で手軽に電車旅行を堪能できる。改札を出ることは出来ないが、初めて降りる駅のホームから見る景色は、病んだ宅浪の心に一時の癒しを与えてくれる。
乗車中は参考書を開いて勉強に勤しむ。ふと車窓に目をやると、そこには見知らぬ風景が広がっている。なかなか趣があるではないか。
ということで、今回は大回り乗車での勉強を紹介する。
そもそも大回り乗車とは何か。
大回り乗車とは、大都市近郊区間の特例やICカード乗車券使用時の運賃計算方法を利用して目的地の駅まで遠回りして行く行為である(ニコニコ大百科から引用)
たとえば新大阪から大阪へ行くとする。この際に最短経路ではなく、京都・奈良・京橋を経由した大回りをしても、運賃は最短経路と同じ料金で済む。これを利用してもっと大回りをすれば、それこそ十時間以上電車内で勉強することが出来るのである。
ただし大回り乗車にはいくつか規則がある。これらを守らないとキセル乗車(犯罪)になるので注意しなければならない。
Ⅰ乗車経路が重複してはならない
同じ駅・路線を二回以上通ることは出来ない。つまり通った路線を逆走したり環状線を回り続けたりは一切出来ない。同じ駅を二度経由することも出来ない。山手線周回などは言語道断。
Ⅱ途中下車は出来ない
やむなく大回りの途中で下車せざるを得ない場合は、乗車駅と降りる駅の最短経路の料金を払わなければならない。帰りの料金も払わなければならないので、数百円で大回りするはずが数千円払う破目になったりする。また、無人駅の場合は車両から降りた時点で下車扱いとなる。
Ⅲ大都市近郊区間内でしか大回りはできない
大回りが出来るといっても限界がある。大回り乗車は大都市近郊区間の範囲内でのみ可能である。ここからはみ出してしまうと全乗車区間の料金を払うことになる。
大都市近郊区間の範囲はJRの公式ホームページに記載されている。
Ⅳその他
定期乗車券は使えない
有効期限は一日のみである
新幹線は乗れない。
大回り乗車では数学など紙に書く必要のある勉強は向いていないが、英語・国語の読解や理社の暗記作業はそこそこ捗る。
気分転換と勉強が出来て一石二鳥なのでぜひお試しあれ。
(大回り乗車中に撮った車窓の風景)